【あらすじ・レビュー】『精霊の守り人』現実世界と異界が交錯する、東風本格ファンタジー

この物語は、女用心棒バルサが第二皇子チャグムの命の危機を救うことから始まります。

そして、このことがきっかけでバルサは思いもよらぬ旅路に就くこととなっていきます。

精霊、魔物、皇国とファンタジーな世界な一方、登場人物たちの葛藤、罪悪感、そして愛情と人間味あふれるこの作品をぜひ味わってみてください!

『精霊の守り人』の概要

タイトル精霊の守り人
著者上橋菜穂子
出版社新潮文庫
出版日2007年4月1日
ジャンル長編ファンタジー


守り人シリーズ第一作目である、今作『精霊の守り人』。

主人公バルサが精霊の卵を宿した皇子チャグムを命を懸けて守る話であり、野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞、アメリカ図書館協会バチェルダー賞と数多くの賞を受賞されている傑作中の傑作です。

2015年にはドラマ化もされており、綾瀬はるかさんがバルサのクールで強い女性を見事に演じられていたと話題にもなっていました!

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『精霊の守り人』のあらすじ

ここからはネタバレを含みますのでご注意ください!

逃亡の始まり

老練な女用心棒バルサはひょんなことから新ヨゴ皇国という国の二ノ妃の信頼を得ます。

そして、バルサは彼女から二ノ妃の息子、第二皇子のチャグムを連れてこの国から逃亡することを頼まれます。

バルサがどういうわけか尋ねると、二ノ妃は、皇子の心の中にナニカが宿り、皇子の奇怪なうわさが広がるのを良しとしない帝が皇子をこの世から亡き者にしようとしている、とのようなことを答えます。

さらに状況の悪いことに、このナニカも皇子の命を奪おうとしているとまで。

つまり、バルサは刺客の人間と、皇子に宿るナニカという現実世界と異界の双方の敵から皇子を守らなければならないのです。

目に見えない異界ナユグ

事が大きすぎて一人ではチャグムを守り切れないと判断したバルサは、仲間に助けを求めることにします。

それが薬草師タンダ。

彼はバルサの昔馴染みで、信頼のおける男です。

また、異界ナユグについて知見があり、皇子の心の中に宿った秘密についても助力を求めます。

ここでついにチャグムに宿るものの正体が精霊の卵だと明らかになるのですが、タンダでも知識足らずで、チャグムの身を守るための情報が不足していたため、タンダの師匠で生きている中では最高の呪術師であるトロガイを探すこととなります。

精霊の守り人

無事、トロガイ老師と会うことができたバルサたち。

トロガイ老師からチャグムに宿る精霊の卵の詳細な説明をしてもらいます。

そしてチャグムを守るためにどうすればよいのか、過去の同様の事例をもとに明かされます。

それは、チャグムに宿る精霊の卵が孵るまで、卵が異界ナユグの魔物に食べられないよう守り続けるということ。

チャグムは勝手に押し付けられた精霊の守り人という役割を恨み、やり場のない怒りを抱いたりしながらも時が過ぎていきます。

孵化

刻一刻と孵化の時が近づいていくのを示すように、チャグムの体に異変が現れます。

バルサたちはチャグムに宿った卵を孵すため、その卵の導きに従い旅を再開するのですが、精霊の卵によってチャグムの意識が薄れ、チャグムはバルサたちと離れ離れになってしまいます。

そんな離れ離れになった状況の中、ついに卵の孵化が始まり、卵を食らおうと異界の魔物がチャグムに押し寄せますが、バルサが助けに入り、そしてタンダ、トロガイ老師たちが過去の文献を読み解いたことで無事に孵化を終えることができたのです。

精霊の守り人という役割を終えたチャグムと、チャグムの護衛としての役割を終えた女用心棒バルサはその後、この旅で得た感情を抱いてそれぞれ新たな道へと進んでいきます。

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『精霊の守り人』の口コミ・評価

良い口コミ・評価

少しずつ事態の全貌が明らかになっていく過程や、敵対していた人物同士がそれによって手を組む展開など、物語の王道をそのまま行っている感じが読んでいて気持ちいいです。

読書メーターより引用

小学校のときはチャグムに完全に感情移入してたけど、大人になって少しずつバルサの気持ちもわかってきた。活き活きした処世の暮らしと政治が絡み合う様子や安易な悪者を描かないところが相変わらず好きすぎる。いま読むと本当に文化人類学的な小説だなと思う。

読書メーターより引用

異世界ファンタジー。大人が読んでも面白い児童文学。信念を持って生きるバルサがかっこいい。

読書メーターより引用

『精霊の守り人』の良い口コミを見ていくと、王道の物語性とその物語を彩る登場人物たちの人間味あふれる部分が人気であるとわかります。年齢によって異なる登場人物に共感を抱くという点は私もそう思います!

悪い口コミ・評価

読みやすくはあったけど、登場人物や名前が独特過ぎて覚えづらい。続編も全て揃えたけど、読みたいとはそこまで思えないなぁ。

読書メーターより引用

『精霊の守り人』の悪い口コミを見ていくと、固有名詞への読みにくさがネックとなっているみたいです。

しかし、本の内容についての悪い口コミは見られませんでしたので、高い評価となっていました!

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『精霊の守り人』を読んだ感想

『精霊の守り人』を読んで、この作品は指輪物語に大きく影響を受けているのかなと感じました。

しかし、ただ単にうわべだけをなぞった作品ではなく、上橋菜穂子にしか書けないと思わせるような凄みが感じられます。

帝からの刺客、姿かたちの見えない異界の敵と、最初は切羽詰まっていた皇子がバルサやタンダ、トロガイとの逃亡生活を経て、我儘な子どもから現実を受け入れ、前に進むことができる立派な青年へとなっていく点は見どころです。

『精霊の守り人』はどんな人におすすめ?

『精霊の守り人』こんな人におすすめです。

  • 上橋菜穂子の作品を初めて読む方
  • 緻密な東風の世界観を経験したい方
  • ドラマから原作を読んでみたい方
  • 指輪物語のような作品を探している方

非日常を体験したい、登場人物の機微に触れられるような人間味あふれる作品を読みたいという方におすすめです!

おわりに

『精霊の守り人』シリーズと銘打っているだけあって、この作品はこの後も物語が続いていきます。

そのため、そんなにたくさん読まないといけないのか…と読み始めるのを躊躇してしまいがちですが、実はこの作品だけでバルサとチャグムの逃亡劇は完結します。

ですので、まずは味見のように上橋菜穂子の世界観を楽しんでみてはいかかでしょうか。

はじめは世界観を築く独自の言葉で戸惑って読みにくいと感じるかもしれませんが、読み進めるにつれ早く続きを読みたいという気持ちになると思います。

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