【あらすじ・レビュー】『騎士団長殺し』一枚の絵から始まる不思議な物語

あなたはこれまでに絵に魅了され、釘付けになった経験がありますか?

この作者はどんな気持ちで何を意味してこの作品を書いたのだろう、描かれた人物は誰なのか、どこの景色なのか…たった1枚の絵によって私たちの想像力は掻き立てられ、時には頭から離れないことも。

この物語の始まりは、屋根裏部屋に隠された一枚の絵と主人公との出会いです。

そして、その出会いをきっかけに想像もしないような出来事が次々と起こっていきます。

まるで絵の中に迷い込んでしまったような、そして目の前の出来事を見つめ直すきっかけにもなる、示唆に富んだ世界をぜひ味わってみてください。

『騎士団長殺し』の概要

タイトル騎士団長殺し
著者村上春樹
出版社新潮文庫
出版日2017年2月24日
ジャンル長編小説


短編、長編、エッセイや翻訳と幅広く手掛ける村上春樹氏の14作目の長編小説である『騎士団長殺し』。

文庫本にして4冊にわたり、作品自体は第一部『顕れるイデア編』と第二部『遷ろうメタファー編』の2つに分かれています。

村上春樹ワールドならではのアイテムが多く登場するため、ファンの方はもちろん、村上春樹作品初心者の方もその世界観を楽しめる作品といえるでしょう。

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『騎士団長殺し』のあらすじ

ここからはネタバレを含みますのでご注意ください!

屋根裏部屋に隠された一枚の絵

画家である主人公の「私」は、6年間連れ添った妻から突然離婚を言い渡されます。

はっきりとした理由が分からず悶々とする主人公ですが、どうにか自分を納得させ日々を過ごそうと努めます。

その経緯を美大時代からの友人に話すと、「父親のアトリエの管理のためにそこに住んでほしい」と頼まれるのです。

その提案を心よく承諾した主人公は、これまで稼いだお金で少し休養しようと一人の生活を満喫します。

彼はある日、そのアトリエの屋根裏部屋に友人の父であり有名な日本画家「雨田具彦」の未発表作品『騎士団長殺し』が隠されていることを発見するのです。

その絵が人目を避けるように作者によってしまい込まれていると理解しつつも、その絵の放つ不思議なオーラに引き付けられ、その絵の示唆するとことを考え始めます。

谷間を隔てた向かいに住む男

絵の発見と時を同じくして、「私」へ肖像画の依頼が来ます。

依頼主は免色という名の、アトリエから谷間を隔てた真向かいに見える豪邸に住む人物。

2人が絵の作者とモデルという関係から少しずつ親しくなったころ、免色はある少女の絵を描いてほしいと「私」に依頼します。

主人公は、その絵のモデルが自分の勤める絵画教室に通う生徒であること、そして免色が彼女の父親の可能性があるということに面食らいながらも、その依頼を承諾するのです。

免色と少女が関わり始めると、主人公は彼らの憶測や勘、悩みなどに巻き込まれていきます。

そしてついにその少女がいきなり行方不明になる事件が起こるのです。

狭く暗い道を行く旅

少女の失踪について誰も何も手がかりがなく、途方に暮れているとき、『騎士団長殺し』の中に描かれている騎士団長が「私」の前に現れ助言を与えます。

「私」は少女を救うため、『騎士団長殺し』の絵の登場人物たちに助けられながら狭く暗い道を行く旅を終え、それと同時に少女も無事家に帰ることができたのです。

旅の途中で「私」は離婚した妻を想います。

その旅は「私」がずっと思考に蓋をしていた2人の関係について再考するきっかけとなります。

旅を終えた「私」は、妻と話をすることで自分と妻が同じことを考えていたと知り、2人はまた同じ家で、新しい命と共に暮らすようになるのです。

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『騎士団長殺し』の口コミ・評価

良い口コミ・評価

村上春樹の作品に登場する男性像がよく表現されていると思うし、続けて読みたくなるスパイストさがよく散りばめられていて、すぐに読める本でした。

読書メーターより引用

何だかすんなりと読み終えれた 構成が最初にゴールのようなものを与えられてたからなのか、ずっと目的みたいな終着点みたいなものがハッキリしていなかったのに何故か続きを読んでしまうのは不思議だった 村上春樹作品はこの騎士団長殺しが初だったので他の作品も読んでみようと思う

読書メーターより引用

村上春樹の作品にしてはかなり綺麗に収束した というか少し無理やりとも取れるくらいに人々をあるべき場所に収めたという感じ ただ読み終えた頃の自分の情緒の問題もあってこの結末は感動的でさえあった 村上春樹を読んでいてよく思うけれど読者は作品から何も学ぶべきではないのだろうな 一つの通り過ぎていくものとしてその世界を味うべきだと

読書メーターより引用

『騎士団長殺し』の良い口コミを見ていくと、続きが気になる展開でストーリーに引き込まれたという声が多くみられました。

また、結末がはっきりしていることにより、読みやすくなっていると言及されています。

悪い口コミ・評価

う~ん、こんな感じで終わっちゃうんだって感じ。多くのことが答えられないまま、いや、自分にだけわからないだけなのか。映画でもこんな感じで終わっちゃうものが、意外と評価が高かったりするから、自分には合わないだけなのかもしれない。村上春樹作品は、また、すこし間を開けて修行を積んでから挑みたいと思う。

読書メーターより引用

秋川まりえ(絵のモデルの子)が突如失踪。まりえを探す為、とうとう主人公は幻想の世界へ自ら足を踏み出す…と言う始まりでしたが、感想は…う~ん、もやっとすると言うか何というか…。夢を願望に乗せて思い込むと言うか…きっと『雨田邸』で過ごした日々は不思議な、非日常的な出来事が交錯した、主人公にはかけがえ無い日々だった、そしてみんな日常に戻る…見たいな…だから何?僕は何を読まさせられてたんだ?と思ってしまった作品でした。

読書メーターより引用

相性が悪いのか、描き出そうとしているものが全く掴めなかった。読んだことを忘れたあと何年かして、ふと心に迫る何かに気付いたりすることがあるかしらと淡く期待する。しかない。

読書メーターより引用

『騎士団長殺し』の悪い口コミを見ていくと、「村上春樹ワールド」ならではの曖昧さに最後までつかみどころのない作品であるという声が多くありました。

自分なりの解釈や、推論をしながら読み進めていくとおのずと自分自身の答えにたどり着けるのかもしれません。

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『騎士団長殺し』を読んだ感想

『騎士団長殺し』を読んで、この作品は主人公が引き起こすあらゆる変化を描いた作品だと感じました。

妻との離婚、免色との出会い、肖像画以来の承諾など、主人公は最初「変化を受け入れるだけ」でしたが、騎士団長との出会いをきっかけに自ら行動し変化を起こしていくようになっています。

おまえが行動すれば、それに合わせて関連性が生まれていく、―――。私はその自然な示唆(のようなもの)に従ってみることにした。

第2部(下)P141より引用

特に、自分の考えや行動が、正解なのか疑問を抱きながらもそのような不安さえ克服しようと暗い穴の中で進み続ける主人公の姿には、考えさせられるものがありました。

抽象的かつ象徴的なキャラクターや場面が多く、自分に照らして考えることが難しい村上春樹作品ですが、『騎士団長殺し』は違う印象でした。

これから本作品を読んでみようという方には、ぜひ自分自身に当てはめ、自分自身の解釈を考えてみてほしいです。

『騎士団長殺し』はどんな人におすすめ?

『騎士団長殺し』こんな人におすすめです。

  • 村上春樹の長編を初めて読む方
  • 物語として起承転結が分かりやすい作品を求める方
  • 不思議な冒険を主人公と一緒に経験したい方
  • 自分なりの解釈をしながら作品を楽しめる方

おわりに

作品内の出来事や主人公の言動に意味や理由を探すのが難しい村上春樹作品ですが、『騎士団長殺し』は、その傾向が薄いように感じられます。

また単行本にして4冊にまたがる作品であるにも関わらず、場面展開が早く、先が気になるような場面が随所にちりばめられています。

ファンの方はもちろん、村上春樹作品が初めての方にも楽しんでいただける作品です。

ぜひ『騎士団長殺し』の物語を楽しんでいただくと同時に、本作品が自分を見つめ、変化を起こすきっかけとなりましたら幸いです。

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