
大切な人が殺された時、あなたは「復讐法」を選びますか?
p7より引用
嫌なことをされた時、やり返したくなりますよね。
ただそれを実行してしまうと、暴行罪、傷害罪などの法律によって自分が罰せられてしまいます。
そんな時に「合法で復讐することが可能」になったら、どうしますか?
復讐した結果、それは良かったと思えるのか?
『ジャッジメント』は様々な人間の心理が表れています。
『ジャッジメント』の概要
| タイトル | ジャッジメント |
| 著者 | 小林由香 |
| 出版社 | 双葉社 |
| 出版日 | 2018年8月11日 |
| ジャンル | 小説 |
『ジャッジメント』は、小林由香さんに描かれる「復讐法」が存在する世界です。その中で五つの話が描かれています。
小林由香さんのデビュー作とは思えないほど、設定が作りこまれており、人々の葛藤、悩みが機微に表現されています。
あらすじ紹介ではいくつか話を紹介するので、ネタバレ注意です!
『ジャッジメント』のあらすじ

復讐法とは
復讐法は、犯罪者から受けた被害内容と同じことを合法的に刑罰として執行できるものだった。
p7より引用
裁判によって、復讐法の適用が許可された場合、被害者もしくは被害者に準ずる者は、旧刑法もしくは復讐法か選択することが出来ます。
旧刑法を選択すると、従来のように暴行罪などに問われます。
復讐法を選択すると、復讐を実行する刑事施設で応報監察官という監視係の下、被害内容と同じことを加害者に行います。
複数人での実行
第三章の「アンカー」では、通り魔殺人により三人が死亡しました。
殺害された三人に準ずる三人が選任されます。複数人いる場合は、過半数が復讐法を選択すれば実行となります。
弟を殺された男性、母を殺された専業主婦、婚約者を殺された男性。
三人の話し合いの中で、「復讐法を選択する」ことは殺された人らにとって最善の選択といえるのだろうか?など複雑な気持ちが混ざりながら、結果二人が復讐法を選択し、実行することになります。
この時の殺人犯は、心神喪失が認められていましたが、復讐法には精神疾患、少年法なども関係なく実行することが可能なのでした。
両親に対し復讐
第五章の「ジャッジメント」では、10歳の少年が両親に対し復讐を実行するお話です。
10歳の少年には5歳の妹がいましたが、両親のネグレクトによる栄養失調で亡くなりました。
少年は、妹にされたことと同じように両親を監禁し、許可するまでご飯も与えない状態を作り、観察します。
少年は復讐を実行中に、なぜか一切ご飯をとらずにいました。
衰退していく少年と両親、少年は母が少しでも自分に対する愛を持っているのかを確認するために、長い間耐えていたのでした、たとえその答えがわかっていようとも。
最終的に少年は死亡する前に、両親を開放することを約束し、この世を去るのでした。
『ジャッジメント』の口コミ・評価

良い口コミ・評価
復讐モノで主人公が警察に捕まったり自殺したりする結末が多い中、誰もが一度は考えたことがあるだろう復讐の合法化。復讐からは何も生まれないと言うが、合法化したらしたで上手くいかない、本当にこんなこと起こりそうって事例がこの本の話。現代で犯罪が起こった時に同じ目に合わせてやりたいと言う人は大勢いても、自分の手で、となると話は別で「あの人はこんな事望んでいない」と言う人が大多数になりそう。合法化された世界で、犯人と全く同じ悲惨な手法で復讐をやり遂げた人はどれくらいいるんだろうか。復讐法という題材が面白かった。
読書メーターより引用
文章はとても軽く読みやすかった。 4話と5話が面白かったが、とても悲しくなる読後感でした。
読書メーターより引用
他の作品も胸が苦しくなるようなもの、白黒はっきりつけられないものが多いけど今回は格別に辛かった。犯罪被害者に対して、加害者に復讐することが合法化された世界の話。基本的に復讐者のサポートをする応報監察官の目線で物語が進むけど、復讐権利者の苦悩もしっかり書き切っていて、想像力と筆力にただただ唸らされる。しかもデビュー作ということでビックリ。これからも賛否両論、正義が何かを考えさせられる作品楽しみにしてます。
読書メーターより引用
『ジャッジメント』の良い口コミを見ていくと、復讐法の設定がしっかりしていて、現実にある状態を想像しやすかったという声が見られました。
また、内容は重たいが文章が軽く読みやすかったという声も見られました。
悪い口コミ・評価
テーマは面白いのにストーリーが浅いという印象。主人公が淡々としているからかすごく薄味で印象に残らない。食材を美味しく調理できなかったみたいな感じ。期待してた分残念。
読書メーターより引用
目には目を それで解決できれば、まだ単純なんだろう。 こんなに重くて 胸の悪くなる物語とは… 責任のないところからは、その都度勝手な声が上がり、声の大きさで右へ行ったり左へ行ったり。 叫びたくなった。 近年で、一番きつい本かも。
読書メーターより引用
中学生が読んだら好きそう。面白かったけど、描写の過剰さを抜いたら結局何が言いたい話なの?って思うかも。
読書メーターより引用
『ジャッジメント』の悪い口コミを見ていくと、読んでいて苦しいという声が見られました。
しかし、その内容の重さが考えさせることが多くある、といった評価をしている声も見られましたので、人によって感じ方が異なりそうです。
『ジャッジメント』を読んだ感想

『ジャッジメント』を読んでみて、最初に思ったのはここまでリアリティーのある設定を作り出す技術に感動しました。
また、復讐法があることによる人々の心情も様々な目線から語られることで、より世界観を想像することが出来ました。
復讐を実行したとして、その後を考えると、結果的にマイナス思考が常にちらつく生活を共わないといけなくなるのは辛い、それでも実行しないと気が済まない状態。
何が正解なのか判断できない、本当に考えさせられる作品でした。
『ジャッジメント』はどんな人におすすめ?

『ジャッジメント』は、こんな人におすすめです。
- 復讐法が気になる
- 現代の法律に疑問を感じる
- 心理学を勉強している
- 復讐について深く考えたい
- ミステリー好き
また、今回紹介しきれなかった話もたくさんあり、親子の話、宗教の話などもあるので、気になる方は是非ご覧ください!
おわりに

『ジャッジメント』は、人を裁くこと、自分を赦すこと、その判断をどこですればよいか、考えさせる作品です。
復讐法が実際に存在するとしたら、自分は実行できるのか、そんなことを考えていると日ごろから関わっている周りの人間には感謝の気持ちが溢れてきます。
当たり前の日常が当たり前だと思わないように、そう感じさせてくれる作品でもありました。
復讐法が存在する世界のお話、ぜひ覗いてみてはいかがでしょうか?


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