【あらすじ・レビュー】『五年前の忘れ物』日常の一部を繊細にほろ苦く表現した十篇の物語

生きていれば楽しいことはもちろん、辛いこともたくさんありますよね。

仕事中に見下される発言をされることや、身近の大切な存在がなくなってしまったり、ストーカー被害にあったりなど様々なことがあります。
もちろん心苦しいし嫌ですよね。

しかし、辛い出来事からは辛い感情以外にも得られるものがあると思いませんか?

その出来事を経験したからこそ、今の自分がいるのかもしれない。

「五年前の忘れ物」では、些細な日常の良いところ悪いところを切り取り、それを繊細に描いた十篇の物語が描かれています。

『五年前の忘れ物』の概要

タイトル五年前の忘れ物
著者益田ミリ
出版社講談社
出版日2016年9月15日
ジャンル小説

『五年前の忘れ物』は、大阪生まれのイラストレーターである益田ミリさんによって、執筆された小説です。

益田ミリさんといえば、漫画もしくはエッセイのイメージが強いかもしれませんが、小説も多々執筆されています。

その中でもまた特別な系統の小説が『五年前の忘れ物』なのです。

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『五年前の忘れ物』のあらすじ

『五年前の忘れ物』は、女性が主人公の十篇からなる小説です。

これからはその一部のお話を紹介していきますので、ネタバレ注意となります!

二羽の鳥かご

結婚を控えた男女のお話。

ウェイディングドレス選び、日程調整の話し合いがうまくいかず喧嘩が続いている状況で、ゴルフ練習場で包容力のあるジェントルマンに出会います。

ジェントルマンの男性は主人公の女性に対し、「結婚されているんですか?」と質問をしました。

ゴルフの教え方の丁寧さや、優しい相槌をうってくれるジェントルマンの男性に惹かれていき、オアシスのような存在となったゴルフ練習場がお気に入りの場所になりました。

ところがある雨の日、再びゴルフ練習場でジェントルマンの男性と話していたところ、「今度、恋人を紹介する」という話を受けます。

男性に悪意はなく、主人公の女性に好かれないために結婚の有無を確認していたのです。

期待した私がばかだったと自分を恥じます。

もうゴルフ練習場には来ないと岐路に立ったとき、喧嘩中で連絡も取っていなかった彼が迎えにきてくれます。

五年前の忘れ物

五年前、主人公の女性は会社の営業部の男性にバーに連れてってもらいました。

結婚指輪をしている彼に、もし誘われることがあるようならそれでも良いと思っていましたが、結局何もなく解散をします。

そして現在、駅で偶然の再会を果たし、二人は再びバーにいるのでした。

お互いの現状のことを話し合っていくうちに終電はなくなり、酔いがかなり回っていました。

外に出て、とても良い雰囲気でお互いが共に夜を過ごすだろうと思っていた矢先、主人公の女性が勢い良く手を上げ、タクシーに一人で乗り込み帰ります。

「学校の先生と飲んでるみたいだなぁ」

p87より引用

五年前に言われたこの言葉が、主人公の女性を怒らせ、駅で見かけた時からこうしてやろうと決心させていたのでした。

ニリンソウ

主人公の佳乃よしのは、福岡にある夫の実家に住んでいました。

佳乃の父はすでに亡くなっており、母はそのまま大阪に住んでいましたが、火事を起こしてしまいます。

その影響で、母は弟家族が住んでいる、東京郊外の家に一緒に住むことになりました。

佳乃は、自分が義理の親に対する不満を抱くように、母が弟家族に不満を持たれていないか心配していました。

佳乃は東京に向かい、母と合流して、公園を二人でのんびりと散歩をします。

母は花に博識で、花を見かけるたびに佳乃に解説をしてくれました。

その中で、良い環境でないと育たないニリンソウという花に出会います。

ニリンソウは春に咲き、五月の最初くらいに何も残さずに消えてしまう花ですが、母は「ほんとは消えておらず、地面の下でちゃんと生きている」と説明をしました。

佳乃はその言葉を母に重ね合わせ、きっとなんとかなる、と福岡への帰り道で思うのでした。

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『五年前の忘れ物』の口コミ・評価

良い口コミ・評判

サラリと読めてしまった。角砂糖の家、二羽の鳥かご、堤防の夕焼けがすきかな。 誰かとの関係がもう少し育めたあとに読むとまた感じ方がちがうのかな。「この人と生きていく」って決まったふたりの当たり前の関係が、日常すぎて夢がないようで、それでも大切でうらやましい。

読書メーターより引用

益田ミリさんのエッセイ本はよくあるが、今回は小説本。短編が10。奥さんをどこにも連れて行ってあげられなかったと泣く上司を見て、自分の奥さんをお寿司屋さんへ連れて行ってあげる『堤防の夕焼け』が良かった。

読書メーターより引用

駅からそう遠くない、古いビルの地下にあるバーで五年前に一緒に働いていた既婚の男と時を過ごす主人公。表題作五年前の忘れ物を含む10作の短編集。ミリさんの小説は読んだことがなかった為かなりの衝撃😣大人なんだけどちょっとズルい女性達にドキドキして引き込まれ読了。益田ミリの引き出しの多さにとても驚いた1冊だった。

読書メーターより引用

「五年前の忘れ物」の良い口コミを見ていくと、日常的な話が多く、共感できる部分が多いという声が見られました。

また、益田ミリさんの小説に驚いている方も多く、楽しめたという声も見られました。

悪い口コミ・評判

短編集。新しい物件購入を検討している夫婦の話、突然いなくなったパン職人との再会を描いた作品など、なんてことない日常の中でのちょっとした場面を描いている。気持ちの揺れ動きなどの描写が上手く読んでいてその気持ちを共有するような感覚になるが、1話がすごく短いので若干の消化不良な感じが残るものもある。

読書メーターより引用

益田ミリさん、漫画じゃなくて小説になると毒が濃くなるんだなと思いました。序盤4篇はそこはかとなく好みでしたが、それ以降はなんだか薄ぼんやり読んでしまいました。毒は濃いのだけれど、印象に残らない感じ。「セックス日和」は(そうきたか)と思いました。確かに、あいつが最後の男になると思うと……ってなるのはモヤモヤするかも。漫画の方が、テンポや空間がミリさんの世界観に合ってるのかなぁ。

読書メーターより引用

一話目は面白かった。読み進むと、女のダークさを畳み掛けられだんだん苦しくなる。最後まで読めず。

読書メーターより引用

「五年前の忘れ物」の悪い口コミを見ていくと、短編集ということもあり、読後感があっさりしすぎているという声が見られました。

しかし、その読後感がよりリアルさを引き出しているという声も見られましたので、短編集の良さが溢れた一冊とも言えますね!

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『五年前の忘れ物』を読んだ感想

『五年前の忘れ物』を読んで、この物語はどれも小説ならでは濃いエピソードがたくさんあるわけではなく、何気ない日常の中で感じ取れる人々の気持ちが繊細に表れています。

あと何回、わたしは母に会えるんだろう。地球の裏側くらい離れているのなら、会えない言い訳もできるのに。
母を東京に残してきたことが、急に、現実として目の前に広がりはじめる。

p204より引用

上記は、最後のお話である「ニリンソウ」の一部です。

主人公の娘が、老いていく母に対する気持ちを表す文が多く見られます。

そういった現実的な部分に多くの共感を得て、もし自分がその立場だったら、と考えてみてたり、生き方について考えさせる内容ばかりだと思いました。

『五年前の忘れ物』はどんな人におすすめ?

『五年前の忘れ物』はこんな人におすすめです。

  • 現実的な話が好き
  • 人間関係で嫌なことがあった
  • あまり時間をかけずに読み切りたい
  • 女性が主人公の話を読みたい
  • 小説を読んでほっこりしたい


結婚や人間関係における心理の機微が表れているので、日常生活を客観視してみたい方にもおすすめの一冊です。

おわりに

『五年前の忘れ物』は、今回ご紹介できなかった話でも魅力的な内容ばかりです。

一戸建ての家の購入の話や、友人の結婚式に参加する話。

益田ミリさんの漫画やエッセイしか読んだことがない方も、小説を読めば益田ミリさんの違った良さを感じることが出来るので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?

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