
「母性」という言葉を聞いてどのようなイメージが湧くでしょうか?
調べてみると、「女性がもっているとされる、母親としての本能や性質」だそうです。
母が子を産み育てるイメージがあると思いますが、その育て方や愛し方には人それぞれのやり方があるでしょう。
本書では、「母性」をテーマに、登場人物お互いの気持ちがすれ違い、関係性が変化するお話です。
『母性』の概要
| タイトル | 母性 |
| 著者 | 湊かなえ |
| 出版社 | 新潮社 |
| 出版日 | 2015年7月1日 |
| ジャンル | ミステリー小説 |
『母性』は、イヤミス女王こと湊かなえさんによって執筆されました。
本書でもイヤミス部分がかなり多いことに加え、だんだんと悪化していく様子にも著者の良さが表れています。
また、2022年11月23日に映画化もされており、戸田恵梨香さんや永野芽郁さんなどの有名女優が出演されています。
『母性』のあらすじ

ここからはネタバレを含みますのでご注意ください!
愛能あたう限り
『母性』は、女性高校生が自宅の中庭に倒れているという事件の発覚で始まります。
4階にある自宅から転落したとされ、事故と自殺の両方で推理されており、女子生徒の母は「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて信じられません」とのコメントを残しました。
このお話は基本的に、母目線と娘目線の「母の手記」「娘の回想」という2つの目線で話が進められます。
その中でお互いの思考がはっきり表れており、すれ違っている部分が多くあることに胸が締め付けられます。
すれ違っていく二人
主婦であるルミ子は、実母に多くの愛を注がれて育ってきました。
ルミ子が学生の頃は、家に帰ってから学校での出来事を洗いざらい実母に話すことは当たり前で、恋愛や話しにくいことについてもすべて報告する日常を送っていました。
ルミ子の娘である清佳は、当時のルミ子とは違い学校の出来事を話すことはなく、むしろそっけない態度をとっていたのでした。
実はルミ子、ルミ子の夫、清佳の3人は、ルミ子の夫の実家で義母と同居しており、その義母がルミ子に対して悪質な態度をとっていました。
それをみた清佳は、母であるルミ子を守ろうと、義祖母に対して反抗的な態度をとるようになります。
清佳はルミ子のことが大好きで、大好きすぎるがあまりに正面から話をすることが出来なかったのです。
義実家に同居している身としては穏便に過ごしたいルミ子は、清佳の義母に対する態度を見て嫌悪感を抱きますが、直接清佳をたしなめることはできませんでした。
こうして二人の気持ちは少しずつすれ違っていくのでした。
事件の真相
ルミ子の実母は、ルミ子と清佳に対してとても寛大で無償の愛を注いでいました。
そんな穏やかな生活を送っていましたが、災害によって家の箪笥に押しつぶされ、亡くなってしまいます。
しかし、この事故は圧死ではないことが発覚します。
それは、清佳が自宅の中庭に倒れていた事件の真相にも深く関係しているのでした。
『母性』の口コミ・評価

良い口コミ・評価
『母』であること『娘』のままでいること。母に褒められることだけを望みに生きる娘。本人が望むように人生は創られていく、その残酷なまでの道筋がこれでもかと提示される。親子でもこれほどまでに、視ているものが違うのかと。読みながら、ここにも、ここにも、自分が居る、と感じて客観的に読めなくなる瞬間が何度もあった。没頭した。
読書メーターより引用
『女には二種類あり、それは母と娘』という私の中にはない持論がとても興味深く、母と娘どちらも信頼できない語り手とはいえここまで食い違って物語が進むものなのかと頭を抱えながら拝読した。母と娘歪な形なりにお互いに想う気持ちはあったと思うのだけど、家族とはいえ言葉にしなければ伝わらないんだなぁと痛感した。母が娘の名前を読んだ時には思わずグッときた。
読書メーターより引用
生まれた時には母親に備わってはない母性。幾重もの経験から愛され大切にし、積み重ねる人間同士の情の中で作っていくものだから、受け取る愛情と与える愛とはきっちり双方で均衡が取れてることは中々ないと思う。降り注ぐような愛情を受けたと思う人は事の本質には気づけてないんじゃないかなあって思う自分は相当ひねくれてるのかな。こう思ってられたなら、苦しみにはならないと思った。母の立場というものを理解してその役割を演じた母は母性を自己犠牲のように捉えてたようにも思うけど、自然な母の姿とは何かを感じさせられた。
読書メーターより引用
『母性』の良い口コミを見ていくと、母と娘の関係性についてうまく表現されているという声が見られました。
母娘がすれ違っていく様などを想像し、とても現実味があるという声も見られました。
悪い口コミ・評価
母性云々の前に悪役の薄っぺらさが気になりました。絵にかいたようなイジワル姑が出てきて、これがリアリティを薄れさせていると感じます。母と娘の複雑な感情は真に迫ろうとしているだけに、もったいないと感じました。
読書メーターより引用
母と娘とは何なのか。 もやもやとして読み進めていきました。 どの登場人物の気持ちも理解できず、 読み終わった時に、重石が乗ったような気分になる本でした。
読書メーターより引用
うーん、いまいちかなぁ。わかるよ、子供は親の愛情を欲しがるは。だけど極端だよね。あんまり感情移入できなかった。そんなもんなのかなー。子供にはよしよし撫でてあげようとは思った。
読書メーターより引用
『母性』の悪い口コミを見ていくと、母娘の思考が極端すぎる、という声が見られました。
しかし、テーマが「母性」なので、表現具合が程よいからこそ、母性について考えさせられる良い口コミが生まれるのだと思われます。
『母性』を読んだ感想

『母性』を読んで、同じ出来事を経験した二人でここまで思考に違いが出るのかと思いました。
しかし、その人の経験や立場を考えたら当たり前のことなんだろうなとも思いました。
特に大人と子供では他人に対する気遣いやマナーも大きく異なります。
自分の意思表示が出来ない理由も大人と子供で違っており、その表現が巧妙で現実味があると感じました。
家庭環境は子供の人格形成に大きく影響する、と言われているようにこういった家庭がもしかしたら自分の身近に、友人にあるのではないかという考え方もするようになりました。
総じて、「言葉にして伝える」ことがいかに大事な行為なのかを感じられる作品でした。
『母性』はどんな人におすすめ?

『母性』はこんなひとにおすすめです。
- 湊かなえの作品が好き
- ミステリー小説を読みたい
- 家族関連の話を読みたい
- 姑問題に興味がある
- 家庭持ちの方
前述しましたが、映画化もされているので活字が苦手な方は映画を見ると、より物語の理解がしやすいかもしれません!
おわりに

『母性』は、一言でいうとすれ違いがずっと続く物語です。
ここまですれ違うか、という感じ方をするかもしれませんが、登場人物の家庭環境や経験を知ればそのすれ違いが起こってしまうのも納得するでしょう。
すれ違いながら起きてしまった事件後、登場人物らがどうなるのかにも注目です!


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