
『希望という名のアナログ日記』の概要
| タイトル | 希望という名のアナログ日記 |
| 著者 | 角田光代 |
| 出版社 | 小学館 |
| 出版日 | 2019年11月6日 |
| ジャンル | エッセイ |
『希望という名のアナログ日記』は、様々な雑誌に掲載された今までのエッセイを集めた作品です。
また、エッセイの中に10ページだけ短編小説も組み込まれています。
角田光代さんが、仕事や旅行を通じて感じたことが鮮やかに表現されているエッセイ本です。
『希望という名のアナログ日記』のあらすじ

ここからはネタバレとなるので、ご注意ください!
デビューまでの軌跡
なかなか良い結果を出せない角田さんに、二人の編集者がそれぞれ言葉を送ります。
「ページを読む手が止まらなくなるようなものを書いてほしい」
p21より引用
一人の編集者のこの言葉によって、一文一文を意識して読んでもらうのではなく、スピード感を意識して執筆をするように変えていきました。
そして、もう一人の編集者からは、
「世のなかに残っている小説は、みんな希望を書いている。残る小説を書きたかったら、希望を書きなさい」
p22より引用
十年以上続けてきた自分のやり方を、この言葉によって変えることで角田さんはどんどん引き受ける仕事を増やすことが出来たのでした。
私たちが作り上げる生活
「事件」のストーリーを書きたいと思っていた角田さんは、先輩作家の言葉で、「事件」を書いていれば結局「生活」にたどり着くことに気が付きます。
まさにそれを表したのが『八日目の蝉』という小説なのでした。
普段穏やかな人が、お酒の席では暴れん坊になる、ということはよくありますが、そんな私たちが生活を作り上げていきます。
誰かと暮らすことになれば、日常の些細な部分をすり合わせていき、扱う言葉も同居人だけの言葉を使い、無意識に価値観のすり合わせを行い、生活を作り上げていくのだと角田さんは述べます。
ひとりの人のなかに、おだやかさと凶暴さは矛盾せずに共存できるのだろう。
p63より引用
とっておきのひとり時間
角田さんにとっては、旅行は楽しいが、友人といっても一人でいっても別の楽しさがあると述べます。
友人と旅行した際は、友人との会話、「楽しかった」という記憶は残っているものの、旅行で行った土地に関することや文化についてはほぼ覚えていません。
それに比べて、ひとり旅では移動手段や旅館の手配、時刻表を見たり、見知らぬ人に尋ねてみたりして自分から積極的に行動する必要があります。
その分、本当に自分がしたいことを見つけることが出来たり、いざ思い返すと「懐かしいなぁ」と土地を思い出すのは、友人との旅行よりひとり旅だったりする、と角田さんは述べています。
食べるときだけは、「おいしいね」と言い合う旅の友がほしいけれど、ひとりでもやっぱり、「ああ、おいしい」と言葉が漏れる。
p196より引用
『希望という名のアナログ日記』の口コミ・評価

良い口コミ・評価
角田光代はどれもおもしろいけど、そうかこれだけほんとうに仕事としてスキルを磨いて書いているんだなあ。短編小説ももちろん素敵だったし(エッセイと思いながら読んでしまった💦)沖縄のマラソンの話もよかったし、ほんとうに手元に置いておきたい一冊なのだけど、冒頭の「〈希望〉を書く」、車中にもかかわらず読んでぼろぼろ泣いてしまった。なんで泣いてるんだとも思うのだけど。切実に仕事をしながら生きていることに胸を打たれたのかなあ。
読書メーターより引用
著者が様々な雑誌に書いたエッセイと短い小説1篇が収められた1冊。10代の頃から彼女の書く文章が大好きで読み続けてきた。途中から書く題材に変化が出てきて何だか著者と心の距離が出来てしまったように勝手に思っていたのだが、本作の中で、書くものの題材の変遷について触れている部分があり、評論家や編集者から「部屋のなかのできごとばかり書く」などと言われ、じゃあ違うものを書いてみようと新しい分野に挑戦したのだという。本著を読まなければ、彼女の作家としての矜持を知らないまま誤解していたかも。読んで良かった。名文も多数。
読書メーターより引用
角田さんの創作の原点、作品に対する想いのわかるエッセイ。『八日目の蝉』の名シーンが、海外の読者にもちゃんと伝わることを知って、わたしも嬉しかった。Ⅲ部の住宅や町、暮らしに関するエッセイもとてもよい。団地が好き、団地の隙間が好き、というのにとても共感した。でも個人的には、そういう「好きさ」と「住みたい気持ち」は別物のような気がする。角田さんはアナログなエッセイがこの先どうなるだろうと心配されているが、形は何らか変わるにせよ、読まれ続けていくんだろうと思う。そんなところにも、不変を見出す自分達がいるんだろう。
読書メーターより引用
『希望という名のアナログ日記』の良い口コミを見ていくと、とにかく読みやすい、という声が多数見られました。
また、海外旅行や作家デビューまでの様々な経験から書かれるエッセイは、読みごたえがあり、名言も多い、という声も見られました。
悪い口コミ・評価
日記だと思って買ったけどエッセイだったので、ちょっとガッカリしたけど、帯にはちゃんとエッセイって書いてたし。
読書メーターより引用
『希望という名のアナログ日記』の悪い口コミを見ていくと、内容に関することは投稿がありませんでした。
それほど多くの人に高い評価をされているということでしょう!
『希望という名のアナログ日記』を読んだ感想

『希望という名のアナログ日記』を読んで、角田さんの表現力がとても心地よいなぁと思いました。
作家デビューまでの経験や旅行でのシーンは、エピソードとして濃いのですが、ほんの些細な日常的な内容までもここまで考えることがあったのかと、驚かされることばかりでした。
また、「配偶者」と「パートナー」の違いについて語る部分は、日本人らしい観点を感じましたし、普段生活をしていて、思うことはあってもここまで表現しきるのは、角田さんにしかできないと思いました。
『希望という名のアナログ日記』はどんな人におすすめ?

『希望という名のアナログ日記』はこんなひとにおすすめです。
- エッセイが好き
- 作家という仕事に興味がある
- 角田光代さんの考えを知りたい
- 旅行記を読みたい
- 生活でモヤモヤを感じている
作家デビューまでの道のりも書かれているので、人生の岐路に立って悩みを持っている方にもおすすめです。
おわりに

『希望という名のアナログ日記』は、角田さんが今までに感じたことを鮮明に綴ったエッセイ本です。
その中でも当たり前だと思っていたことに疑問を持つ部分があったり、自分が今まで持っていなかった視点を供給してくれるので、読んでいてなぞ解きをしている気分にもなります。
そんな角田さんが描いた『希望という名のアナログ日記』、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?


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