
「将来は普通に就職して、普通に恋愛して、普通に結婚して、普通に家庭を築く。」
これらの「普通」に対して問いかけてくれる作品が「コンビニ人間」です。
世間一般の「普通」の輪から外れていることを知り、その輪の中に入ろうとする主人公。
人間の生き方には正解があるのか?
様々な問いを主人公が自ら行っていくのでした。
『コンビニ人間』の概要
| タイトル | コンビニ人間 |
| 著者 | 村田沙耶香 |
| 出版社 | 文藝春秋 |
| 出版日 | 2018年9月10日 |
| ジャンル | 小説 |
『コンビニ人間』は、千葉県出身の村田沙耶香さんが執筆した小説です。
第155回芥川賞受賞作でもあるこの作品は、161ページで話が完結するコンパクトさでありながら、「普通とは何か」の強いメッセージ性を表しており、大ヒットを記録しました。
『コンビニ人間』のあらすじ

コンビニバイト歴18年の主人公恵子
コンビニ店員として生まれる前のことは、どこかおぼろげで、鮮明には思い出せない。
p11より引用
郊外の住宅地で育った主人公である古倉恵子。
彼女は普通に愛されて育ってきたはずなのですが、どこか周りから煙たがられる部分がありました。
エピソードの一つとして、小学校の男子が喧嘩しており、「誰か止めて!」という周りの声に反応し、恵子はスコップを取り出し、男子生徒の頭を殴って強制的にけんかを止めた話があります。
どこかずれていると認識されながら大学生になり、アルバイトを始めることにします。それがオープンで募集していたコンビニのアルバイトなのでした。
研修を受け、マニュアルで決められた接客を行っている瞬間が、「世界の部品の一つになっている」ことを恵子に実感させ、そのまま就職もせず18年の時が過ぎます。
友人家族との食事会
恵子には同窓会で再会した旧友がおり、時々集まってご飯を食べたり、買い物をしたりします。
その旧友らと集まってバーベキューをした際に、就職が難しいならせめて結婚をしないと将来が心配になる、といった内容を言われます。
なぜアルバイトの現状ではだめなのか、恵子には理解できず、そのことを質問しても周りの反応は、恵子を「やばいやつ」認定するだけなのでした。
就職、結婚が当たり前の友人家族らに対して、「異物扱いされている」と思い、自分を世界の一部にしてくれるコンビニに早く行きたい気持ちが一層大きくなります。
白羽の存在
ある日、新しいアルバイトとして白羽という男性がやってきました。
180cmを超えているが、細身すぎて骨に皮がこびりついたかのような状態で、世間を見下す態度をとる白羽。
彼は、婚活目的でアルバイトを始めたといいますが、清潔感のない見た目の上に相手の女性に対し高い理想を持っているため、それは難関な課題でした。
そこで、恵子は白羽を彼氏として迎え入れれば良いのではないか、と思いつきます。
それは白羽に対する恋愛感情ではなく、「彼氏がいる」という肩書きによって家族や友人らの輪の一部に入れるのではないか?という期待から思いついたのでした。
一人暮らしをしていた恵子の家に、ニートである白羽を連れ込み、二人の同居生活が始まります。
コンビニのアルバイト資金だけでは生活が苦しくなると思った白羽は、恵子に対して正社員として働くよう仕向けます。
しかし、恵子が面接に行く途中でコンビニを見るなり、体が勝手にコンビニ店員としての働きをするのでした。
そうして恵子は「コンビニ人間」として生きていくことしかできないのだと改めて悟るのでした。
『コンビニ人間』の口コミ・評価

良い口コミ・評価
普通じゃないと自覚してコンビニでしっかり働けるだけで十分な気もするけど…人は誰しもどこかの局面で「自分は普通じゃない」と感じるものだと思っていたので自分の意思を曲げず、なおかつ周りに合わせることができる古倉さんは上等だと私は思った。
読書メーターより引用
一気に読めた。軽快で面白い表現も多い。一生懸命に、普通の枠に入れ込んで、平静を保とうとしている。妹との会話が、奇妙で不思議だ。最後に白羽を切り捨てて、ホットした。しかし身内には、気苦労が絶えず不安な日々が続くのだろうか? 色々と考えさせられる本である。
読書メーターより引用
主人公がどうしようもなく『コンビニ人間』すぎる。社会に適合出来ないけれどコンビニという社会だけにはピタリとハマって、でもコンビニの中の人間関係が原始的になると面倒くさいなってなる主人公に何故か共感した。どうしてそんなに土足で人の事情に入ってくるんだろう…..という苦しさがあった。あと、食べ物に無頓智な描写、餌と言ってるところが更に原始的だなとも思った。白羽さんの縄文時代理論は主人公のこういうところにハマって、嫌な人物という描写がありながらも合理的で面白いキャラクターだなと思った。
読書メーターより引用
『コンビニ人間』の良い口コミを見ていくと、内容は重ためだが、軽やかな表現があり、ページ数も少ないことから読みやすかった、という声が見られました。
また、主人公のキャラクターについて、自分が社会不適合とわかっていながら向き合おうとする姿勢に好印象を持った、といった声も見られました。
悪い口コミ・評価
終始気持ちが悪かった。普通の名の下に均整化を善意で強いる人たち、社会、気持ち悪い以外に感想がない。その点、自分が異分子であることを自覚しながら「コンビニ人間」ということに意味を見出す主人公は、合理化極まり筋は通っている。白羽もクズという言葉も惜しいクズ野郎だが、その卑小さの一点では同様。それよりも同僚や友人が、デフォルメされて笑えるくらい気持ちが悪い。寝る前に読む本じゃなかった。唯一わたしが理解できたのは、白羽の弟の嫁。しかし登場人物の誰にも顔がないと感じる。連想したのはアンソール『仮面の中の自画像』。
読書メーターより引用
わたしにとっては、なんというか、ちょっとホラーだったな。文庫版のあとがきを読んで、この本はこういふうに読むのか、と感心した。わたしは本の面白さの何万分の一かしかわかっていないんだな。。。と、また、残念で淋しくなってしまった
読書メーターより引用
再読。コンビニ店内の音の変化をつぶさに察知して流れるように最適な行動をとる冒頭シーンが美しい。白羽さんが出てくる中盤以降は、あんまり好きじゃない。
読書メーターより引用
『コンビニ人間』の悪い口コミを見ていくと、出てくる登場人物に対して、良い印象がなかった、という声が見られました。
しかし、ほとんどは良い口コミで溢れており、芥川賞受賞というのも納得できる評価ばかりでした。
『コンビニ人間』を読んだ感想

『コンビニ人間』を読んでみて、最初のほうは出てくる登場人物に対して嫌悪感を抱いていましたが、読んでいく内にその嫌悪感は少数派の人間に対する異物扱いの態度なのだと気づかされました。
もちろん、やって良いこと悪いことは守るべきですが、何の根拠もなく無意識に相手を否定することって日常の中に結構あるのかもしれないな、と思いました。
『コンビニ人間』はどんな人におすすめ?

『コンビニ人間』はこのような人におすすめです。
- 世の中の「常識」に疑問を抱いている
- 変わり者だとよく言われる
- 周りから否定的な態度をとられる
- ずっと正社員として働いている
- コンビニ勤務の方
- 恋愛に焦りを感じている
コンビニのアルバイトにおける人間関係も、惹かれる描写が多くあったので、コンビニで勤務したことがある方にもぜひ読んでいただきたいです。
おわりに

『コンビニ人間』は、読んでいて気味悪いと思う部分があるかもしれません。
しかし、それは自分の価値観ではありえないものであり、排除しようとしているのであって、相手は悪いことをしていないかもしれません。
そうして、自分に秘められた考え方を知る機会にも良い本だと思うので、気になる方はぜひ読んでみてください!


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